お電話いただいたのは静岡市葵区のある小学校の先生からでした。ご依頼内容は職員室に置いてある金庫の鍵開けだそうで、緊急性があるということだったのですぐに駆けつけることになりました。
学校関係からのご依頼はたまにいただくことがありますが、大抵が昇降口・ロッカー・デスク・金庫に関わる鍵トラブルが多く、その中でも金庫は相談件数がダントツで多い案件です。学校には以外と高い割合で職員室や校長室などに金庫を設置しています。それは公共性の高い学校という場所は、誰が忍び込んできてもおかしくないところだからです。金庫の使用目的はさまざまありますが、試験の答案用紙をテスト日直前まで保管していたり、給食費などの集金した現金などを保管したりと意外と狙われやすいものが学校にはあるんです。今回のお仕事では、明日行われる学力テストの答案用紙を取り出すために金庫を開けたいということでした。トラブルの原因は鍵の紛失です。金庫に限らず鍵屋が承るトラブルの中で鍵の紛失事案というのはトップクラスの数をほこります。鍵が重要なアイテムであることは誰でも認知していることだとは思いますが、鍵の管理という面では意外と気を抜いてしまう方が多いのも確かです。ましてや学校という場所は大勢の教員の方がいますし、それぞれが必要な時に金庫の鍵を扱っているのですから、よほどきっちりとした管理体制をとらなければなりません。
静岡市の現場に到着後、担当の教員の方にご連絡をすると、1階の職員室から出迎えてくださいました。まだ若い女性の先生です。どうやらこの方が鍵を紛失したらしく、大変申し訳なさそうにしておられました。あんまり落ち込んでいるものですから、可哀想になり「金庫はすぐに開けられますから心配しないで大丈夫ですよ」と声をかけると、少しだけ笑みを浮かべて安心されたようでした。その方に職員室まで案内してもらい、問題の金庫を拝見するとコクヨ製の耐火金庫ホームセーフHS-10KF1NNが置いてありました。ホームセーフHS-10KF1NNは家庭用タイプの金庫ですが、20リットルの大容量を保管することができ、重量も50kgと重厚でまず持ち去られるといった心配はありません。家庭用ながらきっちり耐火性能も備えていて、360度ダイヤルロックを採用したことで左に2回、右に3回といった煩わしい従来のダイヤル開錠方法を簡略化した使い勝手のいい製品です。
シリンダー錠は一般的な鍵を使っているためピッキングでの鍵開けとなりますが、ダイヤルに故障などがないかもチェックさせていただきました。暗証番号をいただき聴診器を当てながらダイヤル開錠をしてみます。聴診器から聞こえる音に異常はなくダイヤルのチェックは完了です。続いてシリンダーの鍵開けに取りかかります。いくつかのピックツールを床に並べてひとつひとつ試していきます。何個目かのツールで手応えを感じたので、一気にピッキングを行って無事に金庫を開けることに成功することができました。時間にして30分ほどでしょうか、落ち込んでいた女性の教員の方もトラブルが早期解決できたことにとても喜んでおられました。今回は金庫の鍵開けのご依頼ありがとうございました。