2000年代前半に大流行した空き巣の手口に「ピッキング」という手法があります。ピッキングは特殊な形状をした工具を使って、玄関や勝手口の鍵穴に工具を挿入し解錠をしてしまう方法です。ピッキングが生まれる以前は、空き巣の鍵破りの手法の大多数は鍵を破壊して侵入をするというものでした。ところがピッキングの場合、鍵を傷つけることなく解錠が可能なので、犯行後も家主が気づきにくく犯行発覚までの時間がかせげるという点から、空き巣犯や窃盗団がこぞってこの手法を取り入れてしまいました。その結果空き巣や窃盗による被害件数は増加し、大きな社会問題にもなりました。ある事例では、大規模な中国人窃盗団が摘発された際に、警察が捜索したグループの隠れ家には、木の板にドアノブだけが取り付けられた器具やピッキングに使用する工具が何台も置かれていたと言います。これは、この窃盗団が隠れ家でピッキングの練習をしていたことを物語っています。それほどまでに流行してしまったピッキングによる窃盗も、近年ではかなり減少しました。これはピッキングが有効な鍵開けしやすい鍵が販売中止になり、よりピッキングに強い防犯性の高い鍵が世に出回っているためです。ピッキングによる空き巣被害の件数は減少しましたが、ゼロではありません。特に注意をしなければならないのは、古い住宅にお住まいの方々です。築年数の経過した住宅に住んでいる方の中には、建築当初に取り付けられていた鍵をそのまま使用しているケースがあります。鍵メーカーが発売を中止したような、ピッキングに弱い鍵を当時のまま使用しているとなれば空き巣に狙われる確率が高くなります。ここでは、ピッキングしやすい鍵とピッキング対策が施された鍵をご紹介しますので、ご自身の玄関や勝手口の鍵と照らし合わせてみてください。もし防犯性の低い鍵が取り付けられていたら早々の鍵交換をおすすめします。