鍵のトラブルというのは時に「なんでこのタイミングで！？」というときに起こるものです。今回ご依頼いただいたお客様もこの時ほどタイミングの悪さを呪ったことはなかったのではないでしょうか。
ご連絡をいただいたのは平日の早朝でした。「玄関の鍵が抜けなくなってしまったので、すぐに修理してください！」と半ばパニック状態でのお電話です。どうしたのかお伺いすると、今朝家を出ようと玄関に鍵を挿したら抜けなくなってしまったということでした。なんでもお客様は練馬区の大学に通う大学生で現場は練馬区上石神井にあるアパートということでした。間の悪いことにその日お客様は、大学の仲間と一緒に海外へ卒業旅行に出掛ける日だといいます。飛行機の搭乗時間に間に合わなければ卒業旅行が水の泡になってしまうと焦っていたようでした。
とにかく落ち着いてもらって状況説明をしてもらうと、お住まいのアパートには玄関に2つの鍵がついているそうで、どちらも同じ鍵で施開錠を行っていたといいます。今朝鍵を閉めようとしたときには1つの鍵は問題なく閉められたが、もう片方の鍵を閉めようとしたときに突然鍵が抜けなくなってしまったということでした。その瞬間は訳が分からず挿した鍵を抜こうとガチャガチャしてみたらしいのですが、一向に抜ける気配がなく鍵がささったまま放置している状態ということでした。お客様のその判断は正解です。鍵が抜けなくなってしまうと人は反射的に無理矢理抜こうとしてしまいます。しかし機械的な原因で抜けなくなっている状態で鍵を力尽くで抜こうとすればシリンダー内部の部品を破損してしまう可能性があります。また、最悪の場合、鍵自体が鍵穴に残ったまま折れてしまうこともあるのです。お客様にはそのままお待ちいただくようお伝えし、緊急で現場へ駆けつけることになりました。
足立区の上石神井へは青梅街道から千川通りを使って20分ほどで到着できます。到着予定時間を告げると少し安心したようで落ち着いた口調で話すようになりました。現場に到着するとすぐに大きなキャリーバッグを抱えた男性が駆け寄ってきました。相当急いでいるのでしょう、切羽詰まった雰囲気が伝わってきます。これは最速タイムで鍵修理をしなければと気を引き締めました。お客様のアパートには美和ロック製のJNシリンダーが取り付けられていました。ディンプルキーで防犯性の高い良品ではありますが、故障してしまっては元も子もありません。まずはささったままの鍵をどうやって取り出すか頭の中でシュミレーションを行いました。
まずはシリンダー内部に潤滑剤を注入して鍵の滑りを良くしてみようと試みます。潤滑剤を入れた後数分待って鍵を動かしてみると先ほどよりも大きく動くようになりました。これは行けると判断し、さらに潤滑剤を注入していきます。15分ほど鍵修理作業を繰り返しているとスポッと鍵を抜くことができました。かなり早く修理が完了したことで、お客様も大喜びです。卒業旅行は半ばあきらめていたらしかったので、本当に間に合って良かったです。
