お電話をいただいたのは平日の午前中のことでした。「事務所に置いてある金庫が開かなくなってしまったので大至急開けていただきたい!」と切羽詰まった口調で金庫開錠のご依頼を受けました。
まずは詳しい状況をご説明いただくと、お客様は兵庫県姫路市にある企業様で、工作機械を使って金属部品を製造しているとうことでした。主に大手の下請け仕事らしいのですが、企業努力も怠らず定期的に試作品を造って取引先に製品として使ってもらえないかの売り込みもしているそうです。そんな中で今回も試作品を仕上げて近日中に取引先に出向いてプレゼンを行うことになっていたそうです。造った試作品はプレゼンの日まで大事に保管しようと事務所の金庫に入れていたそうですが、プレゼン当日に金庫を開けようとしたところ、まったく開けることができなくなったといいます。
お客様の説明では鍵とプッシュ式のテンキーを使って暗証番号を入力するタイプの金庫だそうで、鍵もあり、暗証番号も分かっているのに金庫が開かないそうです。お客様からは「暗証番号は間違いなく、何回番号を押しても開かない」ということでした。とにかく午後の3時までには試作品を取引先に持って行かないと会社の信用を失うという一大事だそうで、緊急での対応となりました。
現場は姫路市の中心部から数キロ離れた場所にあります。裏道を使って30分ほどで到着することができました。担当の事務の方に金庫が置いてある場所まで案内してもらい、さっそく金庫を拝見させていただくとセントリー製のコマーシャルセーフS6770です。コマーシャルセーフS6770は高さが90cm近くある大型の金庫で、シリーズの中にはダイヤル錠タイプもありますが、今回はテンキータイプの金庫です。耐火金庫としては最高レベルの性能を持っていて、世界一過酷なアメリカUL1時間耐火試験や急加熱試験にも合格している折り紙付きの製品です。業務用金庫では当たり前ですが4桁~16桁の暗証番号を自由に登録が可能で、定期的に暗証番号の変更を行えばより一層防犯対策にもなります。
今回は鍵の紛失でも、暗証番号忘れでもないことから、一つの可能性を考えていました。それは『金庫の電池切れ』の可能性です。テンキー金庫は電源コードを使わないタイプもありますが、どうしてもテンキーパネルを稼働させるため電池が必要です。たまに電池が切れていて開けられないケースもあることから、まずは電池チェックをさせていただきました。しかし新しく電池を交換してみても問題は解決しませんでした。そうなると基板の故障が考えられます。テンキーパネルを取り外して内部の基板を取り出しチェックをしたところ、コンデンサーの一部がショートしている可能性があります。今回は基板の交換をさせていただき、無事に金庫を開けることに成功しました。
お客様も取引先に提案する試作品を金庫から取り出せたので、一安心といった表情を浮かべています。「社運をかけているプレゼンだったので、本当に助かりました」と感謝のお言葉までいただけたので、頑張った甲斐のあるお仕事でした。また何かありましたらお気軽にご相談ください!